2017年5月26日金曜日

パス

パスはシュート・ドリブルと並んで、オフェンスの中心となる技術です。原則として、パスは両手でキャッチし、片手で投げます。両手でパスを投げるとモーションが大きくなり、かつ時間がかかるためです。しかし状況によっては両手でもかまいません。
パスの種類については次の3種類がよく使われます。

・ストレートパス
これは、ボールを床と平行に、強く素早く投げるパスです。両手、片手どちらでも投げることができます。そして、レシーバーのターゲットハンドをねらいます。ターゲットハンドがないときは、声でレシーバーにパスを知らせ、腰から肩の間のディフェンスから遠い側をねらいます。

・バウンズパス
このパスは両手、片手どちらでも出すことができます。床がクッションとなるので、強く投げます。バックスピンをかければ、レシーバーの手前で緩やかに浮き上がりますし、リバーススピンをかければバウンドの後、低く鋭いボールとなりますので、長いリードパスに有効です。バウンズパスは、ディフェンスをかわす次の状況で有効です。人間は上下の動きは、左右の動きに対して、比較的鈍いところがありますので、ディフェンスの足元を通したり、混雑する中にパスを通したりするのに有効です。

・ロブパス
ループとかロビングとかフローターとか言われるパスで、ふわっと上に浮かせるパスです。ボールが空中に長時間あるので、カットされやすく、またディフェンス隊形を変える時間があります。ペイント内の長身選手や、ディフェンスの裏を動く選手に出すのに有効です。また、ディフェンスのリズムを崩したり、相手の反応を見てトラップに誘い出してノーマークを作ったりします。

それでは、よいパスとはどのようなものでしょうか。一番分りやすいのはシュートにつながるアシストパスです。状況判断がよくミスのないものもよいパスと言えます。目的をもって味方を動かせるパス(リードパスなど)もよいパスです。

では、悪いパスとはどのようなものでしょうか。パスを出す上記の場面でパスを出さないことです。もっと悪いプレーがあります。パスなど考えもせず、ボールを持ったら自分がシュートを打つまで(無理なシュートであっても)ひとりでやるプレーです。これをやれば、誰もパスをしなくなります。パスしたら二度と自分にボールは回ってこないのですから、チームワークもなくなってしまいます。その他で悪いパスは、ギャンブル性の高いパス、ディフェンスを見ずに判断を行わずにするパスなどです。

パスはチームワークを作る上で必要な技術です。ナイスパスを続けて、5人が効果的に動いてプレーするとき、よいチームワークができています。上記とは逆に、誰でもよい動きをすればナイスパスが来てシュートが打てるのですから、ボールを持たないディフェンスもボールをもらうことより全体の動きを見て、いいポジションをとるように動くことになります。

パスより早く走れるプレーヤーはいないので、効果的なパスがうまいチームは、チームの質が高くなります。つまり、パスのうまいチームは大きな武器を持っているのです。それには、個々のパス技術の習得が必要です。 パスの技術があっても、パスがうまく回らないのはチームのコミュニケーションに問題があるのかも知れません。

キャッチしやすいパス

パスの目的とはチームでよいシュートにつなげることです。うまくコントロールできるパスは大きな得点チャンスを作ります。しっかりとパスとキャッチができるチームは試合をコントロールでき、相手に必要以上に得点チャンスをあたえずに、優位に試合運びができます。バスケットボールは得点で勝敗が決まる競技ですので、得点チャンスを多く作れるということは、絶対的なチームのパワーと言えます。
パスの判断、予測、タイミング、フェイク、正確さ、意外性、力強さ、タッチ、コースなどを向上させるためにパスとキャッチの原則を理解し、技術を習得することが大切です。
次のことに気をつけてパスを出しましょう。

1.リングを見る
2.ドリブルよりパスを優先する
3.味方のプレーヤーの長所短所を把握する
4.味方の動きに合わせてリードパスを出す
5.すばやく正確なパスを出す
6.意外性のパスで相手を出し抜く
7.相手を引き付けてからパスを出す
8.適度に強いパスをする
9.確実に通るパスをする
10.ディフェンスから遠い位置にパスを出す

パスは一人ではできません。味方と呼吸を合わせなければいけません。そのためには、多くのチームメートと練習することで、どんな人ともうまく合わせることができるようにしましょう。

インターセプトされる原因

インターセプトとはパスカットされることです。このようなプレーから集中力をなくし、試合の流れが代わってしまうことがよくあります。インターセプトの原因はパスミスですが、そのパスミスの原因として次の様なものが考えられます。

パス技術が未熟なために起こるミス  
・緩いパスしか投げられなかった  
・両手のパスしか投げられなかった  
・左手のパスが投げられなかった  
・レシーバーが取れないところにパスをだした

レシーバーの技術が未熟なために起こるミス
・強いパスが取れなかった  
・足元のパスが取れなかった  
・ボールミートやカットプレーができなかった

判断の誤りによるミス
・相手がねらっている方にパスを出した  
・もし通れば有利になるのでギャンブルに出た(ギャンブルパスは結果に関わらず悪い判断)  
・パッサーとレシーバーの判断の違い

このような場合はパスフェイクなどを考えましょう。パスフェイクの主なものは次の通りです。
・ディフェンスが構える前にパスをしましょう  
・手首を小さく動かして、パスするふりをしましょう  
・ボールを動かさず体を動かしてディフェンスを動かしましょう  
・ボールをノーモーションでパスしましょう  
・視線を大きく動かしてディフェンスを誘導しましょう

プレッシャーを受けた時のパス

特に接戦の終盤ともなれば、プレッシャーディフェンスが必ずと言っていいほど出てきます。プレッシャーを受けた時、どのようなパスをすればいいのでしょうか。
①チームにドリブルの得意な選手がいたとするなら、ディフェンスの強い当たりでもドリブルでボールキープし、パスチャンスができるまで、またはパスコースができるまでドリブルを続けるように心掛けたいと考えます。あまり好きではありませんが。
②ディフェンスのプレッシャーに対してピボットを使い、簡単なパスを狙う。
③ダブルチームの場合は後方へのパスが比較的安全ですので、後方へのパスからディフェンス突破を狙います。
④予め予想されるプレスディフェンスに対してプレスダウンを決めておく。
⑤最後の手段ですが、相手の足に当ててコート外に出してマイボールとする方法もあります。(ミニバスはダメ)
それも難しいときは無理にパスをせずに5秒オーバータイムにしてしまうことも考えます。インターセプトならほぼ失点になりますが、相手のスローインなら守って失点を防ぐチャンスがあるからです。(パスとは関係ないですが)
一番いいのは④だと思いますが、情報収集が必要です。この場合は情報戦が主流になりますので、1人でも違う動きをしたらプレスディフェンスに引っ掛かることになります。全員の理解(登録メンバーは全員)が必要です。

キャッチ

キャッチのスキル
キャッチは様々な方向からくるパスを確実につかむ技術が必要ですが、それだけでは不足です。どんなプレーも、キャッチからはじまるので、上達を目指さなくてはいけません。
キャッチの技術と同時に必要となるスキルは次のようなものです。

① バスケットボールポジション(まず姿勢が大切)
② ボールミート(ボールが飛んでくる方向にディフェンスより先にキャッチする技術)
③ ムービングキャッチ(カッティングでのキャッチの技術)
④ ランニングキャッチ(走りながらキャッチ。続いてパス・ドリブル。シュート・ストップの技術)
⑤ ジャンピングキャッチ(高いボールをキャッチする技術。手の平をボールに向ける)
⑥ 足元のキャッチ(足元でバウンドするパスのキャッチ:手をボールに合わせて手をバウンド位置からボールに合わせて後ろに引く)
⑦ トリプルスレットまたはスクエアショルダー(ボールをキャッチしたらすぐに相手の距離に応じて、胸か肩にボールを持ってくる。)

キャッチのポイント
・手のひらで受けるのではなく、指の腹でつかむようにします。  
・両ひじを曲げてボールの勢いを吸収します。  
・キャッチの瞬間までボールから目を離さないことがキャッチミスを防ぐ方法だが、つかんだ瞬間に周囲を見るようにして次のプレーに備えなければなりません。  
・キャッチした後は、ディフェンスにボールさらすようでは、狙わます。キャッチと同時にボールをプロテクトすることも重要です。

キャッチミスの原因
何回、練習してもキャッチングがよくならないという人はその原因を分析して練習して下さい。自分を知ることは大切なことです。ミスの原因はちょっとしたことで、それに気づけば上達も早いです。キャッチミスの原因は次の様なものです。
① パスを予測していない(状況判断を行っていない)
② パスを受ける準備ができていない(ターゲットを作っていない)
③ キャッチするまでにボールから目を離している(確実にキャッチしてから目を離す)
④ 高いパスがとれない(頭の前の方でキャッチする)
⑤ 止まったままキャッチして狙われる(ボールミートをする)
⑥ その他(ボールが怖い、技術が未熟など)練習を積むことによって解消されます

パス練習のポイント
パスの練習の目標は、タイミングとスピードと正確さです。レシーバーが次のプレーがしやすいタイミングで、ディフェンスに邪魔されないように素早くパスをしましょう。

①素早く強く正確なパスの練習
・最初は正しいフォームでゆっくりと行いフォームを固めます
・次はコントロールを重視します。相手の胸に狙って投げましょう。  
・できるだけ早いタイムングでパスできるようにしましょう。  
・できるだけ強いパスができるようにしましょう。  
・どのパスも正しいバックスピンがかかるようにしましょう。

②パスの強化練習法
・2つのボールを使って、チェストパスとオーバーヘッドパス、バウンドパスを組み合わせて練習します。  
・座った姿勢での対面パスの練習。手首のスナップの練習になります。

③ディフェンスをつけての練習

④動きの中でのパス

パスの練習

対面パス
2人組で色々なパス(下記)をします。 向かい合って並び、走りながらフリップとバックフリップ・ドリブルからパスを行います。また、ジャンプパスやジャンプショットのモーションチェックもできます。

片手パス
2人組または3人組で行います。ボールの保持時間をできるだけ短くし、バスケットポジションから、片足でボールミートし、すぐにスクエアショルダーに構えて2歩目でパスします。慣れてきたらジャンプストップから重心移動のみでパスを出します。

3対1クイックパス
3対1で行う高速パスの練習です。3人が90度位に広がり、左から1・2・3の番号をつけ、ボール2個で1番から順番にパスしていきます。次の人はキャッチ後すぐにパスします。



2対1クイックパス
2人が5m位の距離に立ち、もう一人はボールを持ってどちらかの正面に立ちます。対角にパスしてキャッチした人の前まで走りパスを受けます。これを繰返します。



三角パス
三角形を作り、順番にパスをします。
①軸足と体のさばき方(ターンやパスを投げる手など)パスの種類を指定して、パスした方向に走ります。
②上と同じですが、パスした後でダミーディフェンスに入ります。パスモーションを速くするための練習でボールミートをきちんとするようにします。 パスした後、逆方向に走ります。モーションオフェンスの約束のボールから離れる練習で、走った先でパスをもらうとか、スクリーンを作るとかを意識します。また、速いパスモーションを意識するなら、走った先でインターセプトを狙います。

③ボール方向に走り逆のコーナーに方向を変えます。カーブの頂点でパスをもらい、進行方向にパスを出します。






四角パス
①パスして対角に膨らみながら走り、パスを次のポジションにつないでいく、リードパスの練習です。全力で走り、キャッチからシュートとパスの両方を意識するようにします。パスはクイックモーションで行います。パスが遅れる場合はクイックモーションができていない場合が多いです。ワンステップ・ノーステップ・バウンズパスなどの応用があります。

②ツーガードとコーナーにポジションをとり、コーナーの2人とツーガードの一人がボールを持ちます。ボールを持ったガードがもう一人のガードにパスして、斜めに走ります。ショートコーナーからはパスしてすぐ上のツーガードに走ります。カッターはコーナーの次の人にパスします。


③3人を四角形の3頂点に置き、真ん中の選手がボールを持ちます。横のクイックパスをした後、縦のパスをして、誰もいないコーナーにパスに間に合うようにダッシュします。これを繰返します。パスは縦か斜めに出し、ダッシュはいつでも誰もいないコーナーに走ります。

3対2パス
オフェンスは三角形を作り、ディフェンスはボールに一人つきます。ディフェンスはオフェンスの動きを予想しながらパスカットを狙います。オフェンスは相手の読みの裏をかいてパスします。ディフェンスがディレクションやヘジテーションを行えばオフェンス・ディフェンスともの駆け引きの練習になります。


スキップスターパス
スキップパスのモーションの速さやパスの正確さの練習です。まず、トップ・ウイング・ローポストに5人配置し、右から2人目にスキップパスを出します。パスは振りかぶるとモーションが大きくなる上にトラベリングの可能性が高くなります。ボールは腕で投げるのではなく、肩の位置から、膝・腰・肩・肘・手首のバランスをとって、力をボールに集めるようにして投げて下さい。腕の振りで投げる場合は、肩部から背中部の筋肉を傷めることがありますのでやらないようにして下さい。右が終わると左へ投げて下さい。

アラバスタパッシング
ペイントエリア内で短い距離のダッシュをしながらパス交換を行います。インサイドの選手は8の字を描きながら、4隅でストップしパス交換します。中央で交差するときの避け方も練習の一つです。お互いに声を出しながら相手の位置を知り、うまく避けるようにして下さい。外側の選手はクイックパスの連続になります。


パスアンドスイッチ
パスアンドランの練習です。8人が四角または円になって、ボール2個を対面2人が持ちます。同時に右へパスして、ダッシュでポジションを交換します。これを繰返していきます。右が終わると左で行います。とりあえず人数は8人としていますが、6人未満では難しいようです。

ノードリブルキープアウエイ
3人のオフェンスに対して3人のディフェンスがつきます。ドリブルなしでハーフコート中をパスで逃げます。シュートは打ちません。ルールは公式試合と同じです。ディフェンスはプレッシャーをかけてボールを奪うようにします。



シェービングパス
シェービングの1つです。ウイングからトップにパスを出し、レシーバーはボールミートします。空中でボールをとるようにして下さい。指定のステップをして、パスを自分のきた方向に出し、ボールサイドカットをします。レシーバーは、パスフェイクをした後、トップへパスします。指定のステップは、シェービングと同じです。

ブレーンボール
5対5で行うもので、かなり高度な練習です。オフェンス5人の配置は自由でディフェンスはマンツーマンでつきます。オフェンスはボールかボールを持っている人の体を触られると負けです。かなり広い視野とクイックモーションからのスピードのあるパスが必要で、小中学校ではかなりレベルの高いところでないとうまくパスが通らないと思います。無理な場合は4対4とか3対3で行って下さい。

フォーポイントパス
4か所でのパスとシュートです。ポジションはトップと両ウイング、エンドスローインの4か所で行います。まず、スローインからのパスを左ウイングがVカットでもらいます。左ウイングからトップへ同様にパスをし、右ウイングはVカットからバックドアに走り、トップはそこにパスを入れます。シュート後は自分でリバウンドをとり、スローインの列に並びます。選手はスローイン→左ウイング→トップ→右ウイング→スローインと進みます。8人以下ではやりにくいところがあります。人数が多ければボールの数を増やします。

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